待ちに待ったEVOLVE旗揚げ戦。U系のような団体になるのでは?とネット上では噂されていたけれども、やはりそれはただの噂にしかすぎず、EVOLVE(進化、発展の意)の名前に相応しい、既存の団体とは一味も二味も違うものでした。
まず一番大きな違いは、観客に「見てもらえる」作りだったこと。最近の興業はとにかく長くする傾向にあるので、一試合一試合が無意味に長くなりがち。もちろん楽しめる試合が続けば良いのだけれど、ダラダラと続くものが多いので、最初の2~3試合が終わった時点で客の集中力は途切れ、4時間を超える興業の後は疲れしか残らないものが多い。試合が面白くないから周りの人と話をし始め、「あれ?今の試合終わったの?」なんて言ってる人もよくいるほど。
では、EVOLVEの「見てもらえる」作りとは一体何なのか?
まずは選手個人の入場曲が流れないこと。アブストラクト~アンビエント風な曲が流れ、まずは一人目の選手が入場。その選手がコーナーに立った時点で、次の選手が入場。選手個人のテーマ曲が流れないことで、観客の目がエントランスに向き「誰が出てくるのか?」と注目をする。両選手(タッグなら両チーム)がリングに上がった時点で、リング下からアナウンサーが選手紹介をし、すぐに試合開始。観客が集中してリング上を見ている状態ですぐに試合が始まるので、会場全体に緊張感が出て、試合を「見る」状況が出来上がる。
そして試合。全ての試合がかなり速いペースで進むので、見ている側としても面白い。次々と技が出されるので、目を離す隙もなく、試合が進んでいく。そして休憩前までの前半戦(計7試合)は10分以下のものが多く、それも見ている側の集中力を持続させる結果になったと思う。
試合が終わった後はアナウンサーがリングに上がり、リング上で勝利者インタビュー。これはUFC等の総合格闘技と同じスタイル。今戦っていた人が、その場ですぐにインタビューに応えるので、ここでまた観客の気を引き、観客を集中させる。またこのインタビューもダラダラと続くものではない。とにかくこの「入場」「試合」「勝利者インタビュー」がスムーズに進んで、非常にテンポが良い。サクサクと進むので、見ている方は飽きない、疲れない、そして集中力が切れない。
EVOLVE1は全部で11試合行われたものの、トータルでも3時間以下という、8試合で4時間超えが主流の現在では考えられないサクサク具合!試合終了後に観客に話を聞いてみたら、ほとんどの人が開口一番「最後まで試合をちゃんと見ていたのは久しぶり」と言っていたのが印象的。また「今日は疲れていないから、帰りの運転も楽だ」なんていうアメリカらしい意見も。実際問題として、会場全体がダラダラした雰囲気のなか試合が進んでいくのと、観客がきちんと見ている状態で試合が進むのでは、見ている側ももちろんやる方も感じ方が全く違うと思う。
また「見てもらえる」作りは進行面だけでなく、選手の意気込みからも感じ取れた。例えば、「あれ?以前はこんなに体できてたっけ?」「この選手って、こんなに動き速かったっけ?」と思わせる選手が何人かいたし、初めて目にする選手や長い間見ていなかった選手からは「え?こんな選手だったの?!」と感じる事が多かった。この一番良い例がTJP。それなりにキャリアもあり、ほとんどの人が知っている選手だっただけに、彼の変わり様に皆驚いていたのも事実。
旗揚げ戦を見るまでは、TNAやROHという既存の団体と何が違うのかよくわからなかったけれど、旗揚げ戦を見た今では、進行、選手、そして会場の雰囲気のどれを取っても既存の団体とは全く違う、EVOLVEという名に相応しい団体だと判明。今後、ゲーブ・サポルスキーという名ブッカーが、この団体をどのように「進化」させていくのか、非常に興味深い。ちなみに次回EVOLVE2は、3月13日に同じニュージャージー州ラーウェイで開催予定。次はどんな進化が待っているのか、そしてどんな選手が参戦するのか、また連続して日本人選手の参戦はあるのか?マンハッタンドロップでは、引き続きEVOLVEに注目していきます。
また気になる試合内容については、追ってレポートをアップするので乞うご期待!
【文:Shiori】