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Chris Dickinson

EVOLVE 4


7月23日 EVOLVE 4 @エースアリーナ ニュージャージー州ユニオンシティ

ブライアン・ダニエルソンが初参戦となるEVOLVE 4。150人も入ればいっぱいという工場の2階にある小さな会場で行われた。天井が低く、『ファイトクラブ』に出てきそうな怪しい雰囲気の会場には空調設備がなかった。しかし低温サウナのような蒸し暑さにもかかわらず会場は満員となった。ブッカーのゲーブ・サボルスキーが語っていたとおり、まるでミニECWアリーナのような雰囲気で、空調設備さえあればホームグラウンドとして使えそうな場所だ。

オープニングマッチはブロディ・リー対ジョン・モクスレーのヘビー級マッチ。両者とも味がある大型レスラーで、個人的に注目していたカードだったが、これが期待通りの素晴らしいオープニングマッチとなった。ゴングと同時にオーソドックスなラフ殺法の展開に。狭い場外へと流れこむとドスンドスンと殴りあう音が場内に響きわたる。単純だがこの逆水平チョップのみのパワー合戦だけでかなりお腹いっぱいになる。忘れていたプロレス初期衝動を再確認させてくれる好試合。最後は、両者がパイプ椅子をリングに持ち込んでノーコンテスト。モクスレーの表情(特にニタリ顔)が印象的だった。

予定されていた戸澤とのシングルマッチが急遽変更となったドレイク・ヤンガーは、リッチ・スワン、リコシェ、クリス・デッキンソンとの4ウェイマッチに。噂には聞いていたが、リッチ・スワンの飛び技が大変なことになっていた。まだカラダは細いが勢いがあって身のこなしは動物的。将来的には次世代ハイフライヤー界の有望株になりそうな末恐ろしいものを感じた。

クリス・デッキンソンとドレイク・ヤンガーが、顔面の張り合いからヒートアップして、感情むき出しのどつき合いへと展開。改めて思ったのが、デスマッチファイターの印象が強かったドレイク・ヤンガーだが、そのレスリングテクニックには荒削りながら目を引くものがあった。最後は、ドレイク・ヤンガーがリッチ・スワンからピン。ハイフライヤーの空中戦やゴツゴツしたりどつき合いなど、見所の多い試合となった。

第6試合のサミ・キャラハン対アリク・キャノンの試合がこれまた熱戦となった。入場と同時に「レッツゴーサーミー!レッツゴーキャーノン!」の観客によるチャント合戦が始まり、序盤は張り手とグーパンチの殴り合いから一進一退の攻防。場外乱闘に入っても両者一歩も引かない喧嘩マッチに。マットが敷かれていないコンクリートむき出しの入場ランプ付近で、サミがキャノンにブレーンバスターを決めると、お返しとばかりに今度はキャノンがサミにブレーンバスター。ドスンという鈍い音が狭い場内に響く。しかし最後はサブミッションでサミのタップアウト勝ち。爆竹のようにけたたましく痛さが伝わってくるような試合だった。サミはEVOLVEで2戦して負けなし。

第7試合、オシリアン・ポータルとアップ・イン・スモークのタッグ屋対決。なんども対戦経験のある2チームだけに、スピードとテンポが良く、息の合い方が尋常じゃない。EVOLVEのタッグチームロースターとして初めてエントリーするオシリアン・ポータルは、古代エジプト人ならではの魔術や飛び技を披露。惜しくもアップ・イン・スモークに負けてしまったが、オシリアン・ポータルの参戦により、これからのタッグチーム戦線がかなり楽しみになってきた。

セミファイナルのチャック・テイラー対ジミー・ジェイコブスの試合。これまで負けなし同士の対決は、予想以上の好試合となった。正直、ジミー・ジェイコブスのイメージは、ダークサイドに堕ちた陰鬱としたレスラーというあまり良い印象ではなかったが、この一戦で180度イメージが変わった。技を受けまくり、コミカルな動きも織りまぜながら感情を表にだしていく、そんなジミー・ジェイコブスなりの闘魂みたいなものを感じた。それに引っ張られるようにチャック・テイラーの動きもすこぶる良かった。最後はハイアングルパイルドライバーでチャック・テイラーがジミー・ジェイコブスを破り、3戦して未だ負けなしとなった。裏ベストバウトと言っていいほどの素晴らしい試合。

そして迎えたメインイベントは入場時から観客総立ちとなった。そしてお決まりの観客から大量のネクタイがリング上に投げ込まれる。静かな立ち上がりの両者はロックアップにはいかず、相手の出方をうかがうように軽くローキックを打ち合う。観客からは「レッツゴードラゴン!」チャントが鳴り止まない。

徐々にブライアンの右ローが効いてきたのかフィッシュの顔がみるみると歪んでいく。振り抜くようなローキックをフィッシュの左腿にヒットさせるブライアン。すでにキラーブライアンの形相に変わっていた。フィッシュをコーナに押し込んで蹴りの雨あられ。腰をガクッと落としてダウンしたフィッシュに休むことなく蹴りまくるブライアン。まさに鬼のような攻め。チカラを振り絞るように立ち上がったフィッシュは、逆にブライアンをコーナーに押し込み蹴りの連打。場外に降りたブライアンめがけてトペ。

中盤からはグラウンドの攻防にうつる。ブライアンのブリッジを崩そうと、フィッシュが勢いよく全体重を乗せるがビクともしない。容赦ないブライアンのローキックで、フィッシュに左太ももが真っ赤に変色していく。

痛めているフィッシュの左足をホールドして関節技に持ち込むと、そのまま両者ともゴロゴロと場外へ転落してしまう。しばらく場外で動けなかった両者だが、リングに戻るとまたブライアンがミドルキックの連打。フィッシュを吊り天井に決めようとするが、そのまま裏太ももにフットスタンプ。左足のダメージがかなりあるフィッシュは簡単には立ち上がれなくなっていた。

ブライアンがバックを取ってジャーマンスープレックスホールドを決めるがカウントツー。すかさずタイガースープレックスを放つがこれもツーで返される。必殺のキャトルミューティレーションからフィッシュを起こして肩口にエルボーを20回ほど振り下ろすブライアン。息もつけない展開に観客からは悲鳴のような歓声が上がる。そして、会場全体に「THIS IS AWESOME !!」チャントがこだまする。ふらふらの両者が最後のチカラを振り絞るかのように張り手合戦。最後はブライアンのレッグロッグが完璧に決まりフィッシュがタップアウト。

試合後のインタビューでマイクを向けられたブライアンは、

“Just a second.”
「ちょっとみんな聞いてくれ!」(ブライアン!ブライアン!とコールが収まらないので)

“Who came to indy show for the first time? Huge thanks. Thank you very much. Please help supporting these indy prowrestling  and come to the shows.”
「今日はじめてインディーの試合を観に来た人は?」(何人か手を挙げる) 「どうもありがとう。こういったインディーがプロレスを支えているから、これからもどんどん足を運んで欲しい」

“Here is the thing. Now I’m looking forward EVOLVE 5. I have one challenge to make.”
「ところで、僕はEVOLVE 5に目を向けているんだけど、挑戦したい人が一人いる」

“SAWA! I WANT YOU!!”
「澤宗紀!お前と試合がしたい!!」(客がどよめく)


死闘を制したブライアン・ダニエルソンは、次回EVOLVE 5(9月11日)の対戦相手に、バトラーツ澤宗紀を指名した。観客から大歓声が上がるなか、ブライアンは再び「SAWA!」と同じ名前を叫んだ。アメリカンドラゴンとやりすぎくらいがちょうどイイのなんともミラクルな対決。果たしてこのマッチメイクは本当に実現するのだろうか。澤宗紀からの返答が待たれるところ。


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