カテゴリー: Review

観戦記

  • ケニー・オメガvsロウキー/Kenny Omega vs Low Ki

     

    12月13日 JAPW@ラーウェイ大会 JAPWヘビー級タイトルマッチ

    いま現在、ジャージーオールプロのチャンピオンであるケニー・オメガは、おとぼけで腰抜けのヒールチャンピオン。対する挑戦者のロウキーは、いわゆる団体のエース的な存在で前チャンピオン。因縁深い両者の戦いに注目があつまる。

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    何故かチャンピオンのケニー・オメガの方が先に入場。あまり順番を気にしないのかロウキーへの配慮なのか、ここらへんがジャージーオールプロらしい。ケニーが新コスチュームを見せびらかすようにリングイン。黒地タイツの後ろには蜘蛛のデザインが入っている。膝パットに『Ω』マーク、レガースには『OMEGAMAN』の文字が。なかなかかっこいい。

    続いてロウキーが猛ダッシュでリングイン。ケニーを場外へ投げ落として奇襲作戦にでる。ケニーを場外鉄柵に投げつけて動けなくするとロウキーの容赦ない蹴りがヒット。逆サイドの鉄柵にもケニーを投げつけるロウキー。息を吹き返したケニーは猛然と反撃開始。同じようにロウキーを鉄柵へ投げつけたあと客席へと雪崩れ込む。逃げるロウキー。「ウガー!」と言いながら追いかけるケニー。戦場が雛段席へと移る。

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    ケニーがロウキーを持ち上げて、雛段席の一段目に投げつける。観客は一斉に「オーーゥ!」と叫んでヒートアップ。すると逆に、ロウキーがケニーを床にボディスラムを決めて「バスン!」という鈍い音がひびく。ケニーの顔面にストンピングしたあと、ロウキーが階段を駆け上って五段目あたりからケニーの土手っ腹めがけてフットスタンプ。ケニーの顔が真っ赤。

    ここまでケニーの持ち味であるコミック要素は一切無し。かなりのシリアスモードで試合が進んでいく。ケニーがそこら辺にあった大きめのゴミ箱をロウキーにぶん投げる。ゴミが散乱するなか、ロウキーを持ち上げてニークラッシャー。するとロウキーがケニーの髪の毛を掴んで雛段の中段あたりまで連れ込み、客席に投げつける。

    そして半分グロッキー状態のケニーを連れてリングへと戻っていく。なかなかリングには上げずにケニーを鉄柵へと投げつけ、蹴りの連打。「フー!フー!」と言いながら、独特の歩き方でケニーを威嚇するロウキー。すると死んだふりだったのか突然起き上がったケニーがロウキーへ猛ダッシュ。打撃で弱らせたあと、リングサイドの椅子にロウキーを座らせ、ケニーが助走を付けてトニー・ジャー・キック(not蒼魔刀)。吉本のコントみたく椅子ごと真後ろへ倒れ込んでぐったりするロウキー。

    ケニーがロウキーをリングに戻してフォールするがカウント1でキックアウト。両者一歩も引かない打撃の応酬。バックドロップを放ったケニーがロウキーの背中にえぐい角度でドロップキック。かなりバチバチした展開へと突中していく。ケニーはロウキーの左膝に照準を絞りはじめる。左足を取って片エビを狙うもロウキーがそれを阻止。左足へのドラゴンスクリューも踏ん張ってなんとか阻止するロウキー。場内からは「ロウキー!ロウキー!」コール。

    リング中央で張り手の応酬が始まる。かなりえぐい角度でケニーの頬を張るロウキー。軽くノックダウン状態のケニー。自分からロープに飛んで技をだそうとするロウキーにストップ延髄斬りをだすケニー。すかさずロウキーを肩車してクロイツ・ラス(エレクトリックチェアー式ジャーマン)にいこうとするケニーだったが失敗。逆にロウキーのフットスタンプを食らってしまう。グロッキー状態のケニーに「フーフー!」と言いながら容赦ない蹴りの連打。頭をガードするように怖がるケニー。それでも容赦ないロウキーの蹴りがケニーの顔面にヒット。

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    ふらふらになりながらもロウキーの左足を取って片エビ固めを狙うが逃げられる。何度も何度も逃げられてしまい、逆に反対の右足で蹴りを食らってしまうケニー。ロウキーが下から逆十字を狙おうとするところを、ボブ・バックランドのように強引に持ち上げてそのままマットに叩きつけるケニー。昔の新日を見ているかにような展開。勢いがついたケニーは跳び箱式フェイスクラッシャーを決め、コーナーポストからドロップキックをヒットさせる。

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    さらに左足を取って片エビ固めを狙うケニー。ロープに逃れたあと、この試合を決定づける出来事が発生。ロウキーがコーナーに立っていたケニーへラリアットを狙おうとするが、ケニーの真後ろにいたレフェリーに誤爆。ものすーごくわかりずらい誤爆でレフェリーがリング下に落ちてしまう。この時点でお決まりのパターンと察してしまった観客からは、失笑のようなざわめきが起きる。すると、パイプ椅子を手に持ったエディ・キングストンが客席から乱入。ロウキーにパイプ椅子を手渡すがそれを拒否。そして何故か、エディ・キングストンはケニーにもパイプ椅子を手渡してしまう。それを受け取ったケニーはパイプ椅子でロウキーの頭をぶん殴る。観客は置いてけぼり状態。

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    ノックアウト状態のロウキーをジャーマンスープレックスホールドに決めるがレフェリー不在でカウントなし。そこへ、代わりのレフェリーが走ってリングイン。カウントを取るもツーでキックアウト。悔しがるケニーは必殺技の波動拳の構えに入る。気をためて手がメラメラと燃えあがり始める。客席からは「ウーーーー!」というコールが発生。そして波動拳が発射されるが、ロウキーは倒れずにコーナーポストに寄りかかる程度。

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    逆にドロップキックで逆コーナーまで吹き飛ばされたケニーは、何故に波動拳がきかないんだといった表情。すかさずパワーボムからグラウンドのドラゴンスリーパーがガッチリと決まってケニーがタップアウトしてしまう。レフェリーはロウキーの手を挙げて新王者をコールするものの、そこへリング下で死んでいたレフェリーが復活してきてマイクを持つ。ロウキーの誤爆がレフェリーへの反則行為だと主張。一転してロウキーの負けをコールする。結果的に反則勝ちによるケニーの王座防衛というわかりずらい終わり方に、客席からブーイングが発生。そして、事態の収集にLAX(ホミサイドとフェルナンデス)が駆けつけるもあとの祭り。ジャージーオールプロの今年最終興行は、こんな有耶無耶なうちに幕を閉じた。

     

    これでいいのか、というのが私としての感想。現IWGPジュニアヘビー級王者とケニー・オメガとの試合という日本ではありえないカードということもあって、期待が大きかったぶん、結果としては物足りなかった。しかし、序盤から中盤にかけての緊迫した試合内容は素晴らしかった。この終わり方からすると再戦の可能性大なので、次に期待したいと思います。

    【文・ジュードーチョップ aka Yama-chan】

  • ジェリー・リンvsクラウディオ・キャスタニョーリ/Jerry Lynn vs Claudio Castagnoli

     

    2008年10月24日 ROHコネチカット大会

    来月、ベロシティ・プロレスリングでジェリー・リンとケニー・オメガという楽しみなカードが組まれたということで、今回はジェリー・リン絡みの試合をレビューしてみたいと思います。とその前に、ジェリー・リンといえばアメプロファンには馴染み深いレスラーですけれどもここで簡単に経歴を紹介します。

    88年、地元インディー団体でプロデビューしたジェリー・リンは、95年にWCW(World Championship Wrestling)と契約。ディーン・マレンコや故クリス・ベノワと共にクルーザー級戦線で活躍。同年7月、みちのくプロレスの第1回ふく面ワールドリーグ戦にゴルゴダ・クロスとして参戦。愚乱・浪花に敗れて素顔をさらす。97年からECW(Extreme Championship Wrestling)に参戦。ロブ・ヴァン・ダムを相手に名勝負を量産。2000年にはジャスティン・クレディブルを破り、第30代のECW世界ヘビー級王者に就く。2001年にはWWF(現WWE)へ移籍。同年、クラッシュ・ホーリーを破り、WWFライトヘビー級王者に就く。2002年からTNA(Total Nonstop Action Wrestling)と契約。同年にはAJスタイルズを破りXディヴィジョン王者に就く。TNAのロードマエージェントを兼任。2007年からはフリーとして各インディー団体へ参戦。現在はROHにレギュラー参戦中。45歳現役。

    で、ここからレビューです。
    長身のクラウディオと並ぶと一段と小さく見えてしまうジェリー・リン。しかし、グッドシェイプされた肉体は全く歳を感じさせない。両者ロックアップから静かに試合が始まる。会場からは「ジェリー!ジェリー!」の大コール。クラウディオがヘッドロックから寝技に持ち込みねちっこい攻めを見せる。両者立ち上がりジェリー・リンがロープに振られると、フライング・ヘッドシザースからウラカンラナと繋げクロウディオを場外へと投げ飛ばす。技の一つ一つが確実でキレイ。客からはヒールのクラウディオに対してものすごい罵声が浴びせられる。

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    リングへと戻ったクラウディオはロックアップしようとするが、すんなりジェリーにかわせれる。エルボーで反撃するも、客からは以前としてブーイングの嵐。コーナーに叩きつけられたジェリー・リンはエプロンにエスケープ。立ち上がりざまにクラウディオがヘッドバットを出す。それをまたすんなりかわしたジェリーは、その場ジャンプで足をクラウディオの頭に絡ませ、そのまま場外へと雪崩式に投げ捨てる。

    エプロンから助走をつけながら場外のクラウディオめがけて飛びつきウラカンラナ。捨て身の技でも一切躊躇ない動きを見せるジェリー。完璧に試合をコントロールしている。両者リングに戻り、ヨーロピアンエルボーとストンピングで反撃するクラウディオだったが客からまた大ブーイング。明らかにやりにくそう。めげずにヨーロピアンエルボーを連発する。客からのブーイングで攻撃のリズムが取れないのか、技が単調になるクラウディオ。

    場外へ降りたクラウディオは、コーナーの鉄柱めがけてジェリーの足を何度も叩きつける。痛めつけたジェリーの左足にストンピングの嵐。続けざまにスピニングトーホールドから足四の字固めへと移行。ファンを煽るようにマットを叩きながら足四の字固めを裏返すジェリー。たまらずクラウディオがロープエスケープ。立ち上がってからクラウディオの得意技ジャイアントスイングでもツーでキックアウト。

    コーナーに上ったジェリーめがけてクラウディオが突進していくも寸前でかわされる。最後は一瞬の隙をついてジェリーがスモールパッケージホールドでまるめこんでピン。ぎんぎらぎんにいぶし銀な終わり方だった。ここしかないというタイミングでのスモールパッケージ。一瞬の逆転劇だった。

     

    まず、どう見たって45歳の動きではないです。いつも何を食べているのか、グッドシェイプの秘訣、どんな練習をしているのかと、改めて興味がわいてきました。そして、この圧倒的なファンからの人気もうなずける説得力ある技の数々。これからもずーっとROHでレギュラー参戦して欲しいなと心から思った次第。ということで後日、ジェリー・リンのインタビューを掲載する予定です。お楽しみに。

    【文・ジュードーチョップ aka Yama-chan】

  • ネクロ・ブッチャーvs潮崎豪

     

    2008年10月25日 ROHエジソン大会

    エイジ・オブ・ザ・フォールから離脱して一匹狼となったネクロ・ブッチャー。今回の対戦相手は、ラリー・スウィーニー率いるスウィートン・サワーズ・インクに加入したFIP世界ヘビー級王者の潮崎豪。ベルトをかけたタイトルマッチだ。ある意味これは、猪木ゲノムとプロレスリングノアとの代理戦争だといっても過言ではない(完全なる妄想)。トレーニングはおろかウォーミングアップすらもしないナチュラルボーンレスラーのネクロに、鍛え上げられた豪腕を武器にアメリカマット武者修行中の潮崎が迎え撃つ。

    手をグルグルまわしながら入場してきたネクロは鼻息あらく早くも戦闘態勢。いつもどおりペース配分など頭にない。ゴングが鳴るまえに、いきなりネクロが潮崎の持っていたFIPベルトを奪い取り、寄り目になりながら殴りかかる。慌ただしくゴングが鳴らされる。なにを思ったか突然Tシャツを脱ぎ出すネクロ。「ウガーッ!」とか言いながら逆水平チョップ合戦を挑もうとする。いい度胸だとばかりに強烈な逆水平を放つ潮崎。やりかえすネクロ。会場からは大ネクロコール。

    基本的に技は全て受けきるネクロ。潮崎の強烈な逆水平チョップを受けに受けまくってノックダウン。 潮崎のフットスタンプが寝ているネクロの顔面を強打。起こされたネクロはコーナーに振られるが、走ってきた潮崎にビッグブーツで切り返す。続けざまに潮崎の顔面へグーパンチ。そしてボディースラムのあとエルボーを落とす。技らしい技がやっと出た。

    勢いにのるネクロは一気に場外戦へともちこむ。場外マットをはがして「ウガーッ!」と叫ぶと、パイプ椅子を潮崎の背中にあてがい、そのまま地面へ思いっきりボディースラム。グシャッという嫌な音が会場にひびく。しかしサラサラヘアーの潮崎はパイプ椅子でネクロの頭をガンガン殴り返す。もんどりうって倒れるネクロ。場外カウント14でリングに帰る。カウントツーでキックアウト。

    一気に劣勢になったネクロは潮崎のフェイスロックで手をバタバタさせる。その手にチカラがなくなっていくがカウントツーで復活。そのまま潮崎をバックドロップで投げ捨てる。しばらく両者ノックダウン。鍛え上げられた潮崎のカラダと好対照にネクロは見事に腹が出ている。しかも白い。肌が白くて髭面で頭頂部が寂しくて腹が出ている身体的なハンデを感じさせない戦いっぷりがまた泣ける。

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    そしてまた場外戦になり場内は大ネクロコール。二人とも客席へと雪崩れ込む。 ネクロがパイプ椅子で潮崎の頭をぶん殴る。グーパンチで応戦する潮崎は、しっかりとラフファイトにも対応できている。客からパイプ椅子を渡されるネクロ。それを潮崎めがけ思いっきり投げつける。バケツリレーのようにガンガン投げつける。客とネクロの連係プレーが炸裂。潮崎がパイプ椅子に埋もれる。会場からは「レッツゴー・ゴー(豪)!」コール。

    潮崎を立たせて顔面めがけてグーパンチの連打。すると潮崎のトラースキックがネクロの顔面をとらえる。ネクロふーらふら状態。するとジミー・ジェイコブス、デリリアス、ブロディ・リー(先日チカラプロで関本大介と対戦した亜仁丸レスリー似の長身レスラー)の3人が突如乱入。リング上でデリリアスにグーパンチを食らわすが、ブロディ・リーのビックフットがネクロの顔面にヒットしてノックダウン。そして収拾が付かないまま両者リングアウトで試合終了。

     

    試合の結果としてはアレでしたけれども試合内容は素晴らしく ファンの盛り上がりも半端なかった。ネクロとの場外乱闘にも対応できる潮崎のパワーと気迫とそれに度胸がなければ成立していなかった試合だったかもしれない。ただ一つ言えることは、ネクロの技の受けは世界一。技を受ければ受けるほど光るネクロのスタイルに、潮崎の強烈な攻めがカチッとうまくかみ合っていた。この二人の決着はノアのリングで、というのは無理だろうか。無理だろうな…。

    【文・ジュードーチョップ aka Yama-chan】

  • チカラプロ vs 大日本プロレス (2)

     

    (1)からのつづき

    2008年10月19日 CHIKARAペンシルバニア州フィラデルフィア(旧ECWアリーナ)大会 “The Global Gauntlet – Night 2”

    チカラプロと大日本プロレスとの対抗戦最終日は、フィラデルフィアにある旧ECWアリーナで開催された。満員の会場には普段どこで着るんだろうというグロ系のTシャツを着たコアなデスマッチファンや、小さな子供用のミル・マスカラスのマスクを被ってキャーキャーと応援する子供達の姿も見られる。この統一感の無さがたまらなく、いい。

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    この日は、7対7のグローバル・ガントレット・マッチと銘打たれメインイベントに行われた。と、そのまえに、いまマンハッタンドロップで注目しているプレイヤー・ウノとプレイヤー・ドスのタッグチーム(Super Smash Bros.)が、タッグチームチャンピオンベルトをかけてオシリアン・ポータルと対戦した試合がこれまた素晴らしかった。笑いあり華麗な飛び技あり、そして頓智の効いたフィニッシュには思わず吹き出した。チカラプロのやりたいことはこれなんだ、というような試合だった。しかもプレイヤー・ウノは昇龍拳の使い手だったことが判明!

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    インターミッションの後にメインのガントレット・マッチが開始される。レフェリーの李日韓が客席に手を振りながらリングインするとファンからは大きな声援が送られる。いよいよ試合開始のゴングが鳴り、沼澤邪鬼から入場。チカラプロからはグラン・アクマという冗談みたいなリングネームの選手が鼻息荒く入場。にしてもアクマて…。気むずかしいバス・ルッテンみたいな風貌のアクマは蹴り技を得意とした選手らしい。が、あっけなく沼澤のデスバレー・ドライバーにアクマ敗れる。

    つづく2番手はマスクマンのファイヤー・アント。見たまんまのアリ覆面。しかしこれがまた機敏な動きをするアリで、リングインと同時に沼澤を一気に攻め込んでいく。すると沼澤は自分の肘パットを投げ捨て、レフェリーがそれに気を取られている隙に反則のローブロー。場内からは大ブーイング。また沼澤ペースに持ち込んだところで再びズルしていただき戦法をしようと肘パットを投げ捨てるが、日韓レフェリーはひっかからずローブローの反則を取られ沼澤失格。お約束だが笑った。

    大日本の2番手は機敏な動きを見せる大橋篤。ローブローのダメージが残っているのかファイヤー・アントの動きがおかしい。大橋に押されるファイヤー・アント。アリだからって舐めるなよ!とばかりに触角を震わせながら反撃するも、最後は大橋のサンセットフリップ・パワーボムに惜しくも敗れる。チカラプロ3番手は同じくアリ軍団の一員ソルジャー・アント。兵隊アリね。分かり易すぎてまた笑った。敬礼をしながらヘッドバットや、敬礼をした手で相手の攻撃を避けるといった敬礼ムーブが炸裂。兵隊アリのアリパワーで大橋敗れる。

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    大日本の3番手は若作りリーダーの井上勝正。地味ながらもグラウンドの攻めで優位に立つ井上は、疲れの見えるソルジャー・アントを逆水平チョップや関節技のコンビネーションで一気に攻め込む。最後はタイガー・スープレックスで兵隊アリ敗れる。チカラプロ4番手はアリ軍団の働きアリことワーカー・アント。どこまでアリが好きなんだよと。見た目だけでもドリフ的な条件反射で笑ってしまう。アリ軍団最高。そのワーカー・アントはラ・マヒストラルで井上をピン。

    大日本の4番手は普段デスメタルしか聴かないという石川晋也。なんでも練習の時もデスメタルばかり聴いているという筋金入りのメタラー。そのデスメタル石川が、基本に忠実な動きでワーカー・アントを攻め、ローリング・エルボーであっさりと勝つ。しかしチカラプロ5番手は極悪野郎エディ・キングストン。キングストンの強烈な裏拳が石川のアゴにヒット。ここで石川退場。ここまでかなり目まぐるしい展開。

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    ここでなんと伊東竜二が入場してくる。昨日と同様、伊東が大日魂Tシャツを脱ぐとオォーというどよめきが起きる。キングストンのラフ殺法にキックで対抗する伊東。防戦一方になったキングストンをドラゴンスプラッシュで仕留める。チカラプロ6番手はクワックことマイク・クワッケンブッシュ。派手さはないものの、小刻みなエルボーと素早いロープワークで伊東を翻弄していく。負けじと伊東もキャッチレスリングで対抗するも、クワックのテクニックの方が一枚も二枚も上手。最後は必殺技の固め技チカラスペシャルで伊東がタップアウト。大日本6番手の岡林裕二が猛ダッシュでリングへ。

    アメリカ人レスラーに引けを取らない体格の岡林は、持ち前のパワーレスリングでクワックに猛然とアタック。いくら試合巧者のクワックとはいえ、岡林のパワーには苦戦。しかし、チカラプロ代表としての意地を見せたクワックが必殺のアリゲーター・クラッチ(フェイスロックの状態でキャメルクラッチ)を決め2連勝。もうあとがない大日本。大将の関本大介が入場。

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    勢いにのるクワックだったが、日本人離れした関本の強烈なラリアットを食らってグロッキー状態に。関本のパワーは異常。一瞬にしてその場の雰囲気を変えてしまう威力がある。関本の逆水平チョップで何度もクワックがのけぞり、堪らなくマットに膝をつく。クワックへの容赦ない攻撃にホームのチカラプロファンから悲鳴のような声援が飛ぶ。しかし最後はスローモーションになったかのようなぶっこ抜きジャーマンスープレックスでクワックからスリーカウント奪取。

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    チカラプロ最後の砦はROHでも活躍中のクラウディオ・キャスタニョーリ。ロープを使ってのぶつかり合いから、キャスタニョーリのヨーロピナン・アッパーカッターと関本の逆水平チョップの攻防へと展開。両者一歩も引かない緊迫した状況でファンも一段とヒートアップ。関本が飛び技を見せるが、負けじとキャスタニョーリも持ち前のパワーで対抗する。チカラとチカラの勝負。関本の表情がキラーの顔に変わっている。何発もラリアットと叩き込む関本。そのラリアットをすべて受けきるキャスタニョーリ。観ていて気持ちいい。最後はキャスタニョーリの必殺技リコラ・ボムで関本からピン。かなりの僅差だった。一時間近い熱戦はチカラプロに軍配が上がった。

     

    何を今更というかもしれないが、プロレスに国境は無いと改めて実感した。言葉が通じなくても感動しあえるモノがある。良いコンテンツというものは、それを受け止めてくれる場所で然るべき評価を受けるべきだし、日本だけでなくもっと色々な嗜好のプロレスファンにも観てもらうべきだと思った。今回のチカラプロと大日本プロレスの合同興行は必ず次のステップへと繋がるに違いないと、最後の集合写真を撮りながら思った。

    【文・ジュードーチョップ aka Yama-chan】

  • チカラプロ vs 大日本プロレス (1)

     

    ルチャ主体のチカラプロが、デスマッチ主体の大日本プロレスと対抗戦をすると聞いたとき、それは何かの間違いでは、と思った。しかも大日本からは伊東竜二、関本大介、沼澤邪鬼、井上勝正、大橋篤、石川晋也、岡林裕二の7選手がエントリーされている。えらく大所帯だ。いままでにミラノ・コレクションAT、西村修、男色ディーノ、矢郷良明といった良くいえば「多種多様な」、悪く言えば「統一感のない」、そんな人選をしてきているチカラプロだけに、これはきっとボスであるマイク・クワッケンブッシュなりの思惑があるのだろう。何とも想像がつきにくいのだが、この2団体のコラボはいろんな意味で楽しみでもある。

     

    2008年10月18日 CHIKARAペンシルバニア州イーストン大会 “The Global Gauntlet – Night 1”

    いきなり第一試合から活きのいいタッグチーム”オシリアン・ポータル”が登場。対する大日本からは大橋篤と石川晋也が先発。そして去年デビューしたばかりの森島孝浩がレフェリーを務めた。冷静に試合を進めていく石川に対して、気迫を表に出していく大橋は「よっしゃー!いくぞー!」と日本語でアピール。あとすこしのところでオシリアン・ポータルの古代エジプト攻撃に敗れてしまう。しかしその後の岡林裕二とウルティモ・ブレックファーストの試合、そして沼澤邪鬼とウルトラマンティス・ブラックの試合は共に大日本の勝利。そのまま波に乗れるかと思われたが、ハローウィキッドのヤクザキックで井上勝正が惜しくも負けてしまう。これで勝敗は2勝2敗。

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    そして、関本大介と2メートルの大男ブロディ・リーとの試合がまた盛り上がった。パワーで押しまくる関本に巨体のブロディも防戦一方。場外での逆水平チョップ連打。一発一発が重そう。こうして見ると関本のカラダはすごいことになっている。キン肉マン消しゴムかというくらいムキムキの筋肉だ。こうなるとアメリカ人と日本人の体格差とかいう心配なんて消えてしまう。逆に相手のアメリカ人を壊してしまうのではないかなと心配になるほどだ。最後は完璧なぶっこ抜きジャーマンスープレックスで関本の勝ち。これにはファンも口あんぐり状態。

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    最後は大将の伊東竜二とマイク・クワッケンブッシュ(通称クワック)の試合。リング上の伊東の表情からは緊張がうかがえる。大日魂と書かれたTシャツを脱ぐと、最前列のファンからどよめきが起きる。伊東のカラダにはデスマッチの勲章ともいえる無数の傷が残っているからだ。無言の圧力。しかし序盤からクワックのペースで試合がすすむ。ロープを使った飛び技や複雑なジャベを使いつつ伊東のスタミナを減らしていく戦法だ。なかなかの試合巧者。クワックに対する見方がすこし変わった。勝ち越しを狙う大日本のエース伊東は、キック主体の攻めで徐々にクワックを追い詰めていく。ふんばるクワック。体格的には互角だが、気迫で上回った伊東がドラゴンスプラッシュでクワックから勝利をもぎ取った。全試合終了後には大日本勢がリング上を占拠して全員で勝ち名乗りをする。翌日へのアピールだ。

    恐らくチカラプロの固定ファンにしてみれば「大日本プロレスって何者?」といった認識だったかもしれないが、選手の動きが良ければ盛り上がるし、失敗すればブーイングをするというアメリカ人のプロレスに対する楽しみ方はメジャーでもインディーでも基本的には変わりはないので、心配していたよりもファンから声が上がったと言うことは、まずまずの結果だったと思う。というか想像以上に反応があったのには正直驚いた。

    (2)へ続く

    【文・ジュードーチョップ aka Yama-chan】