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Bryan Danielson

ブライアン・ダニエルソン vs ナイジェル・マッギネス


9月26日 ROH@グラウンドボールルーム ニューヨーク州マンハッタン

The Final Countdown

先ずはナイジェル・マッギネスがいつものタレサンをかけてゆっくりと入場。ファンからは「Thank You Nigel !!」チャントが鳴りやまない。著作権の問題でオリジナルの「ファイナルカウントダウン」ではないエントランス曲が流れると、えんじ色のガウンを羽織ったブライアン・ダニエルソンが続いて入場。どこか寂しげな表情でリングの周りを一周してからリングイン。両者の名前がコールされると無数の紙テープがリングに投げ込まれる。

両者がっちりと握手をしたあとROHでは最後となるゴングが鳴らされる。するとファンから「Let’s Go Dragon !!」と「Let’s Go Nigel !!」チャントが交互に何度も何度も合唱される。こんな地響きするほどのチャント合戦はROHでも珍しい。しかし、ファンの思いとは裏腹に序盤はゆっくりとしたペースで試合は進んでいく。ねちっこい腕の取り合いから関節技の攻防へ。技の一つ一つにこれまでの思いが凝縮されているかのようだ。

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関節を極められたナイジェルがロープに逃げてもカウント4までその手を離さないダニエルソン。するとファンからいつもの「I have Till Five !!」チャントが飛ぶ。これが最後だから思う存分チャントしてくれと言わんばかりに何度もカウント4まで手を離さないダニエルソン。二人だけではなくファンと一緒にプロレスをしているかのようだ。

ナイジェルが場外へのタワー・オブ・ロンドンを決めた辺りから一気にラフファイトモードへと突入。ナイジェルを客席へ投げ込むと、ニューヨーク恒例トップロープからの客席へのダイブをダニエルソンが決行。ようやく立ち上がったナイジェルはダニエルソンを鉄柱へと叩きつけ流血させる。気が付くとヒールチャンプだった頃のナイジェルの表情が戻ってきていた。さよなら試合にこんな死闘されてもみたいな雰囲気が一瞬だけ会場を包み込む。

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リングに戻ると、いままで二人がROHのリング上で繰り広げてきた名場面を再現するかのように、持っている技を全て出し尽くしていく両者。一進一退の攻防が続く。ナイジェルがロンドン・ダンジョン(キャメルクラッチの退勢で腕を決める技)を仕掛けると、ダニエルソンがそれをキャトルミューティレーションで返し、それを抜け出したナイジェルが掟破りのエルボーパッドでダニエルソンを攻め込む。まるで技で会話をしているような二人だけの世界が繰り広げられていく。

キラーとなったダニエルソンは鬼気迫る形相でナイジェルに頭突きをぶち込む。ふらふらになりながらも自らロープに振ってぶつかり合う両者。再度キャトルミューティレーションでナイジェルを弱らせて、すかさず三角締めに移行するダニエルソン。ギブアップしないとみるや三角締めのままナイジェルの頭部めがけてエルボーバッドを何度も何度も打ち込んでくと、見かねたレフェリーのトッド・シンクレアがここでレフェリーストップ。ROHファイナルマッチはブライアン・ダニエルソンの勝利。

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試合後、スタッフはじめ選手全員がリングサイドに集結。はじめにナイジェルがマイクを取り「ROHそしてブライアン・ダニエルソンに感謝したい、これからもファンのみんなにはROHを応援していって欲しい!」と別れの言葉の言う。次にダニエルソンがマイクを取ると、「ジョン・シナの耳にナックルパンチをぶち込んでくれ!」というファンからの野次に、「よーし!あのサノバ●ッチに食らわせてやるぞー!」と拳をつくりながら応えるダニエルソン。すると会場は大爆笑。

続いてダニエルソンは、「いま現在ROHで最高の選手をあげるとするなら、ジ・アメリカンウルヴス、ロドリック・ストロング、それにオースティン・エリーズだ」と言うと会場からは大きな拍手がわき起こり、「いままで日本をはじめ世界各地をプロレスで渡り歩いてきたけど、世界で最高のレフェリーはトッド・シンクレアだ」とリングサイドにいるシンクレア本人に向けて言うと、いつもは入場しただけで大ブーイングのシンクレアに対して、ファンから大きな拍手が送られる。涙をぬぐいながら何度も「サンキュー」と応えるシンクレア。

更に「社長のケアリー・シルキンがいなければ、いまのROHはなかっただろうと思う」と言うと、社長自ら手を振ってそれに応える。そして最後に、「ファンのみんなにはこれからもROHの応援して欲しい」と言うと場内にオリジナルバージョンのファイナルカウントダウンが流れ、ファンの「ファイナルカウントダーウン!」の大合唱と共に、ダニエルソンは天高く人差し指を突き上げた。

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ここまで殺伐とした試合になるとは正直想像していなかったが、最後の最後に両者のスタイルを出し切った試合内容だったので一ファンとして嬉しかった。らしいといえばらしい試合だった。もうROHでは観ることが出来ないと思うと実に寂しい。いままでROHを離脱していった数々のレスラー達も同様にさよなら興行をしてきたが、ここまでファン達の気持ちが一つになった興行は無かったように思う。それだけ両者はROHにとって特別だったと言えるだろう。適材適所という言葉があるが、二人が最も輝ける舞台はROHだと信じてきた自分にとって、WWE移籍は正直不安でしかない。もしかしたらアメドラさんがユージーンのようなギミックを与えられるかもしれない。ナイジェルがハリケーンのような全身タイツで試合をさせられるかもしれない。がしかし、たとえ彼らがどういう形になったとしても、広い気持ちでこれからも応援していきたい。それは彼らがインディーファンの夢だから。その夢に最後まで乗っかっていきたいと思う。


【文・ジュードーチョップ aka Yama-chan】

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ブライアン・ダニエルソンがWWEと契約

 

ブライアン・ダニエルソン(以下アメドラさん)がWWEとの契約に合意したというニュースが入ってきた。ROHによると、9月のスケジュールに関しては全て出場するとのこと。予定通りに行けば、9月26日のニューヨーク大会(王者オースティン・エリーズとのROH世界ヘビー級タイトルマッチ)が最後となる。

アメドラさんで思い出すのが、2005年9月17日に行われたジェームズ・ギブソン(ジェイミー・ノーブル)とのROH世界ヘビー級タイトルマッチだ。当時まだチャンピオンに成ったばかりのジェームス・ギブソンが、4ヶ月ぶりに復帰したアメドラさんからまさかのタップアウト負け。劇的な王座移動となった。一昔前の新日本プロレスを観ているかのような濃厚なストロングスタイルの試合だったように記憶しているのだが、それよりもむしろ復帰したアメドラさんがいきなりチャンピオンになるという意外な展開に、これから何か凄いことが始まるんだという期待感でいっぱいになったことを覚えている。

そして去年ニューヨークでインタビューをしたときには、プライベートな質問に対してもじっくりと言葉を選んで受け答えをしてくれた。なんて真面目な人なんだろうと思った。リング上でのキラーぶりを(当然だが)まったく感じさせない笑顔で、真面目な中にもユーモアのある人をひきつけるスターオーラみたいなものを感じた。

  • ブライアン・ダニエルソン インタビュー (Part 1) (Part 2) (Part 3)

前々からWWEに行くという噂はあったし、ここ最近のROHに対するスタンスからもそろそろだなーというのは感じ取れていた。正直アメドラさんがROHから離れてしまうのはとても寂しい。寂しいがアメドラさんには心からおめでとう!と言いたい。「プロレスとは自由なり」と言ったインディー界トップのレスラーが、WWEというまた一つ大きな舞台でどれだけ活躍することができるのか、今後が非常に楽しみだ。果たして、WWEのリングに「自由」はあるのだろうか。

 

【文・ジュードーチョップ aka Yama-chan】

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Xはアメリカンドラゴン

 

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チカラプロ主催のキング・オブ・トリオスにアメリカンドラゴンことブライアン・ダニエルソンの出場が決定しました。クラウディオ・キャスタニョーリとデイブ・テイラーのチーム『TEAM UPPERCUT』のXがブライアン・ダニエルソンであると判明。これでヨーロピアンすぎる強力なトリオが誕生しました。一体このチームが誰と対戦するのか。妄想は尽きません。

 

【文・ジュードーチョップ aka Yama-chan】

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ROH フィラデルフィア大会(3月1日)

 

3月1日 ROH@フィラデルフィア大会 TVテーピング2回目

クロウディオ・キャスタニョーリ VS ブレント・オーブライト
TVテーピングということで客の盛り上がりが普段の二倍強。酔っぱらい客多め。クロウディオへのブーイングが鳴りやまないまま試合開始のゴング。クロウディオが得意のヨーロピアンエルボーで仕掛けるとオーブライトが強烈な逆水平チョップで反撃。力と力の接戦は見応えあり。最後はロープを掴んだまま押さえ込んでクロウディオの勝利。

ケニー・オメガ VS オースティン・エリーズ
垂直落下式ブレーンバスターでオースティン・エリーズの勝利。この試合は後日また詳しくレビューします。

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アーニー・オサイラス VS デリリアス
アーニー・オサイラスはROHレスリングスクールの出身でコスチュームがボロボロの乞食キャラ。客からは「臭せー!」というそのまんまの罵声が飛ぶ。以前よりカラダを絞ったデリリアス。TVテーピング用か。最後はシャドウズ・オーバー・ヘル(トップロープからのフライングボディーアタック)でデリリアスの勝利。

サラ・デル・レイ & ニヴェア VS デイジー・ヘイズ & サッシー・シュテフィ
サラのセコンドについたスウィーニーが目立ちすぎ(もちろん良い意味で)。最後はマインド・トリップでデイジー・ヘイズの勝利。

ジェリー・リン VS ブロディ・リー
ジェリー・リンと比べるとブロディ・リーの大きさがやけに目立つ。白のランニングにボロボロになったジーンズの後ろポケットからは紺のバンダナが見え隠れする。小粋なおしゃれ心か。序盤のスローな展開から徐々にペースアップ。試合巧者のジェリー・リンがスピード・技のキレ・髪の毛のサラサラ具合、全てにおいて圧倒していた。最後はスモール・パッケージでジェリー・リンの勝利。

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レット・タイタス & ケニー・キング VS チーチ & クラウディ
ROHレスリングスクール出身のレット・タイタスが良い動きを見せる。最後はブロックバスターとパワーボムの合体技でレット・タイタス&ケニー・キングの勝利。

エディ・キングストン VS サミ・カラハン
土地柄なのかエディ・キングストンの人気は異常。にしてもあのだらしないカラダはネクロさんとかなり良い勝負。最後はスピニング・バックフィストでエディ・キングストンの勝利。

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ボビー・デンプシー VS オレンジ・キャシディ
団体に一人はいるデブキャラ。ボビー・デンプシーの勝利。

ネクロ・ブッチャー VS ジミー・ジェイコブス
だらしないカラダに拍車がかかってTシャツの上からでもビール腹が目立つようになったネクロさん。意地でも練習はしない主義の成果が見て取れる。最後はジミー・ジェイコブスの反則によりネクロ・ブッチャーの勝利。この試合は後日また詳しくレビューします。

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ザ・ダークシティ・ファイトクラブ VS グリズリー・レッドウッド & アンディ・リッジ
パワーボムとネックブリーカーの合体技でザ・ダークシティ・ファイトクラブの勝利。

ナイジェル・マッギネス VS アレックス・ペイン
アレックス・ペインは中澤マイケルとも対戦したことのあるROHレスリングスクール出身の新人レスラー。受けて立つナイジェルは試合前にマイクを取って「オレのこの努力もかえりみず、お前らはまだ俺に対するリスペクトがないのか?」と客を煽り始める。ファンからは大ブーイング。続けて「だがなあ、お前らのリスペクトなんていらねえよ!」と更に煽る。またファンから大ブーイング発生。がむしゃらに向かっていくペインだったがとても歯が立つ相手ではなかった。最後はタワー・オブ・ロンドンでナイジェル・マッギネスの勝利。

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ケビン・スティーン & ジェイ・ブリスコ VS クリス・ヒーロー & エディ・エドワーズ
ROHタッグタイトルマッチ。ヒーローのショートタイツ姿が意外と似合う。ラリー・スウィーニーの介入によりバックステージからマーク・ブリスコが乱入。スウィートンサワーを蹴散らす。二日前のコネチカット大会よりも気迫が伝わってくる素晴らしい内容。最後はスティーンがエディをパッケージ・ドライバーでしとめてスティーン&ジェイの勝利。

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ブライアン・ダニエルソン VS タイラー・ブラック
はじめに書いてしまうと新体制になって一番の試合だった。文句なし。かつてはこれほどの内容の試合を毎回のように連発していたかと思うと感慨深い。そしてついにブライアン・ダニエルソンの入場曲が「ファイナル・カウントダウン」ではなくなったことに驚いた。もちろんTVテーピングということで著作権が発生するための配慮だろうけれども、これはどうも味気なさすぎる。「エンター・サンドマン」で入場できなかったサンドマンのように肩すかしを食らった感じ。序盤は静かなスタート。五分五分だったが徐々にダニエルソンのペースに。ヨーロピアンエルボーがタイラー・ブラックのアゴ付近に炸裂。えげつない角度の吊り天井。ドラゴンスリーパーで締め上げる。タイラーも蹴りや飛び技で活路を見いだそうとするがなかなかダニエルソンのペースは崩れない。ダニエルソンが場外へのトペを決めて更に勢いづく。タイラーの足を取りトライアングルチョークを決めるがそこでゴング。20分時間切れ引き分け。客席からは「5分延長!」の大合唱が鳴りやまない。そこにマイクを持ったオースティン・エリーズが現れリング上の二人を罵る。するとブロディ・リーとジミー・ジェイコブスが乱入してきてダニエルソンとタイラーに襲いかかる。しかしなんとそこにネクロ・ブッチャーが駆けつけて3人を蹴散らす。場内は大ネクロコール。息を吹き返したダニエルソンとタイラーが場外にいたエイジ・オブ・フォールめがけてダブルトペ。場外にテーブルをセットしてブロディの寝かせると、ネクロが勢いよくセントーンを決める。また大ネクロコール。リング上でネクロとダニエルソン、タイラーが一緒に手を挙げて終了。

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【文・ジュードーチョップ aka Yama-chan】

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ブライアン・ダニエルソン インタビュー(Part 3)/Bryan Danielson Interview (Part 3)

 

Part 1 , Part 2 からの続き)

――現在、特にインディーなどでは危険な技であればあるほど歓声が上がったりする傾向にあると思うのですが、それについてはどう思いますか?

(ダニエルソン) 一言で言えば、タフだね。アメリカのファン、特にROHのファンなんかは、より危険な技を要求してくる。そうすると、僕達もそれに答えるべくさらに過激な方へと向かっていく。中にはそれに体が耐えられなくなるレスラーもいる、それを続けていくのは大変だよ。ラッキーなことに、そういったスタイルは僕のスタイルではないから、僕はそこまでのことはしなくても済んでいるんだ。僕はもっとサブミッション中心のスタイルだからね。でも多くの人にとって、これはかなり大問題だと思うよ。例えば大技一つ出すにしても、一度出せばそれだけ関節に負担がかかる。人間の体はそこまで頑丈にはできてないんだ。それにアメリカのファンは気が短い。テレビやネットが発達しているおかげで、あれをやってくれ、これをやってくれと常に要求してくる。情報過多の弊害と言えばそれまでなんだけど、これについてはどう対処したら良いのか、僕にもわからないというのが本音だよ。

――怪我の話がでたのでお聞きします。いままで試合中に肩や目などの怪我をされていますが、プロレスを始めてから一番辛かった怪我を教えてください。

(ダニエルソン) 精神的に一番辛いのは脳震とうだね。実際に、昨年のクリス・ベノワの死亡原因は度重なる脳震とうに関係しているんじゃないかと言われているんだ。特に年齢が上がるにつれ、脳震とうの後遺症が出てくる傾向にある。この仕事をしていれば、誰もが脳震とうを経験する。一番怖いのは、いま現在は何も感じていなくても、例えば45歳になった時に突然出てきたりすることなんだ。でも僕は自分の体のことはよくわかっている。関節や腱が悲鳴を上げたらすぐにわかるし、そうなったら健康的な生活はもう送れないなとわかるんだ。そろそろ引退かと考えることはできるけど、脳震とうの場合は歳を取って全く前兆もなく突然後遺症がやってくる。その点から言って、脳震とうがもっとも精神的に怖い怪我だね。肉体的に一番痛かったのは、2006年にやった肩の脱臼。あの時は肩の腱が2本切れたんだ。その後4ヶ月まともにレスリングができなかった。かなりいかれた怪我だったよ。毎週そんな状態で試合をしなければならないし、本当に痛かった。

――結局、肩の手術はしていないんですよね?

(ダニエルソン) うん、してない。実はね、僕は針とか手術がすごく怖いんだ。だから手術をせずに治そうと思って、毎週カイロプラクターやセラピストに通って、エクササイズをして、筋肉をつけて徐々に治していったんだ。まだ少し肩に痛みはあるけど、別に問題になるほどの痛みじゃないよ。左肩に比べると動きに多少制限はあるけど、実際に他の人達よりも関節は柔らかいと思うよ。色々とヨガをやったり、ストレッチしたりしてるからだと思うけど。

――ではプロレスをするうえで苦しかったり困ったりしたら何に頼り、何を考えますか?

(ダニエルソン) 何だろう?例えば何か困難に直面しても「止めない」という選択肢を選ぶ人もいると思うんだ。例えばさ、マクドナルドで働いていて、指を火傷したとするでしょ?その時に「火傷した!薬くれ!絆創膏くれ!」って騒いですぐに家に帰っちゃう人もいるかもしれないし、火傷してもそのまま働いている人もいると思う。レスラーのほとんどって後者タイプだと思うんだ。特に痛みについては他の誰よりも耐久性がある。それに愚痴を言ってばかりいては、この仕事にはつけないよ。そう、このあいだマーク・ブリスコが手首を骨折したでしょ?彼はそれについて一度も不平不満を言ったことがないんだ。例えば「怪我した時どうだった?」って聞けば、「すげー痛かったよ!」とは言うけど、骨折したことに対して自分から愚痴ったりすることは一度もない。「あれは人生で一番痛い怪我だったよ」なんて冗談まじりに言うことはあっても、何で俺がこんな目に…とかの愚痴は一切ない。僕が思うに、この業界にいる人達は、不満を言わないタイプで、リング上で怪我をしたりしてもまあ何とかなるだろうという気持ちを持っている人が多いと思う。多くのレスラーは元々こういった思考を持っているし、逆にレスラーはそういう思考を持つべきだと思うんだ。僕も過去2~3年の間に色々怪我をしたけど、こういった気持ちで乗り切ってきたよ。

――なるほど。強い精神力が必要というわけですね。では次の質問ですが、現在気になる日本人レスラーはいますか?

(ダニエルソン) 永田。それにROHにも参戦している丸藤も素晴らしいと思うよ。あと前回のノアのシリーズで小橋と一緒にツアーを回ったけど、彼も素晴らしいレスラーだと思う。一度対戦したんだけど、リング上での存在感がもの凄いんだ。あと、蹴りが素晴らしいのでKENTAも良いレスラーだと思う。同じ理由で中嶋(勝彦)もいいと思うよ。僕は2004年に新日に出たんだけど、その時に彼と対戦をして蹴りをもらった瞬間に「オー・マイ・ガッ!!」って(笑)あれは今までもらった中で一番効いた蹴りだったなぁ。いま挙げた人達は、試合を観ていてとても楽しいと思う。あと女子レスラーだけど、吉田万里子もとても良い選手だと思うよ。彼女の動きはとてもスムーズだし、サブミッションもとても上手い。観ていてとても良い選手だと思うよ。

――いま名前を挙げた人と対戦したいですか?

(ダニエルソン) もちろん!実際にKENTAとは何度か対戦しているし、小橋とも一度対戦した。永田とはぜひもう一度対戦したいね!あとさっきは名前挙げなかったけど、田村潔司とも対戦したい。彼は今自分の団体を持ってるんだよね?田村との対戦はすごく気に入ってるんだよ。吉田万里子とも対戦したいけど、彼女は女子だからねぇ(笑)でも、彼女とは同じ興業に出たんだ。フランスで先月コミケがあって、そこでプロレスの試合もあったんだけど、彼女は自分の生徒を連れて来ていて、彼女の試合を観たら動きがすごくスムーズでしなやかだからびっくりしたよ。僕が持っていない柔軟性を彼女は持っている。それにスピードもあるしね。アメリカには彼女みたいな女子レスラーはいないよ。

――飯伏幸太はどう思いますか?

(ダニエルソン) 彼はすごく才能あると思う!はっきり言って、彼は凄い。彼がROHに来た時には、僕はちょうどノアに出ていて会えなかったんだ…。ところで彼とデイヴィー・リチャーズの試合をランス・ストームが大絶賛しているの知ってる?彼が生涯観た中で最高の試合の一つって褒めているんだよ。飯伏は本当に素晴らしいよね。もし僕が彼なら、もっとキック中心のスタイルになると思うんだ。あれだけのキックができるんだからね。でも彼はキックの他にもハイフライもやるでしょ?だけど僕は彼の体が心配だよ。いつか怪我するんじゃないかって、彼はまだ若いし、日本のプロレス界の将来を背負って立つレスラーであることに間違いはない。それにファンからも絶大な支持を得ている。しかも彼はそれに答えようとしているでしょ?それでハイリスクな技を多用しているから、いつか怪我するんじゃないかって心配だよ。彼は本当に素晴らしい。できるけど「やらない」っていう選択肢もあるけど、彼はあえてそれを選ばずにどんどんチャレンジしている。そこがまた素晴らしい理由の一つだね。

――飯伏選手は今年のJr.タッグリーグにも出ますよ。

(ダニエルソン) 本当?誰と組むの?

――中嶋選手です(笑)

(ダニエルソン) Oh my god!! それは大変だなぁ…(苦笑)対戦したくないなぁ…。

――ガハハッ。では次の質問です。あなたがプロレスを続けている原動力とは何ですか?

(ダニエルソン) また難しい質問だなぁ。うーん…一言で言えば、僕自身がプロレスをエンジョイしているからだね。僕には一般的な仕事は合わない。僕の父は製紙工場で働いていて、一日12時間働いて、週に48時間か60時間働いている。僕の友達は大学を出てそれなりの職に就いているけど、一般的な仕事は…僕にはエンジョイできないんだ。例えば僕は他に興味あることもあるけど、プロレスのようにエンジョイできないと思う。それにピースボートにも興味あるけど、2年間どこかの国に行って戻ってきたとしても、その時はもう職にあぶれてるし。他にはガーデニングも好きだけど、農業やってもあまり儲からない。僕が興味のあることって、あまりお金にならないようなことばかりなんだ(笑)だから今、僕がプロレスを続けているのは、僕自身がエンジョイしているからなんだよ。まだ若いし、体もついていける。だから今の内にできるだけ稼いで、引退の時が来たらまた学校に戻って、それからやりたいことをするつもりだ。

――プロレスLOVEってことですね?

(ダニエルソン) イェス!!

――ではROH日本公演についてお尋ねします。今回ROHの選手として来日するわけですが、今まで新日本やウワイステーションやノアなどへの参戦と何か気持ち的に変わる部分などはありますか?

(ダニエルソン) ROHはこれらとは全く違うスタイルなんだ。もっとスピードと動きが重視されている。例えばノアだと、ベテランレスラーがいて、若手もいて、たまに若手がベテランレスラーと試合をしてっていう感じなんだけど、ROHは最初から最後までもっとアクションが詰まっていて非常に中身が濃い。アメリカでは全ての試合が高レベルである必要がある。日本ではそうではない。それが大きな違いだと思う。

――なるほど。確かに日本の興業というのは、第一試合から始まり、メインイベントまでそれぞれの試合の役割というのがありますが、ROHの場合は、第一試合から全てメインイベント級の試合ですよね。

(ダニエルソン) その通り!

――では具体的にROHの見所を日本のファンに教えてください。

(ダニエルソン) まずROHのレスラーはとにかく全力を尽くす。日本のプロレス団体の興業の場合、ツアーがあるでしょ?例えば21日間のツアーがあって、そのうち15日試合をしたりするわけで体力もそこそこセーブしておかないといけない。でもROHの場合は、2日連続で試合があって、それで終わり。次に5日休んで、また2日試合。こういった理由も日本人レスラーが長く現役を続けていける理由の一つだと思う。3週間ツアーがあるけど、中には6人タッグもあり、ツアーが終わればまた長期で休みがある。この方が体にとって楽なんだ。でも、2日全力で戦って、ハードヒットで、ペースが早く、エキサイティングなレスリングをする。これがROHのスタイルなんだ。

――では、日本のROHファンへメッセージをお願いします。

(ダニエルソン) ぜひROHを観に来てください。プロレス好きな方なら、楽しんで貰えると思います。そしてROHの雰囲気、レスリングスタイル共に気に入って貰えるはずです。

――では最後に。あなたにとってプロレスとは何ですか?

(ダニエルソン) うーん…一言で言えば「自由」かな。僕が好きなことを感じたままに、そして芸術的に表現できる自由な場。また体型を維持するのに役立ってもいるよ。だってもしレスラーになっていなかったらジムにちゃんと通うかわからないじゃない?(笑)あとはより良い自分でいるための動機。いま現在の僕にとってはライフワーク。例えば他のことをするにしても、何でそれをしているのかと聞かれたら「プロレスのため」って答えるよ。柔術の練習は?「プロレスのため」キックボクシングは?「プロレスのため」何でその本を読んでるの?「読書が好きだからだけど、でも何かインタビューで使えるフレーズとかあるかもしれないじゃない?」って。だから僕の全てがプロレスに向かっているんだよ。

――激しい試合の後、わざわざ時間を割いていただいてありがとうございました。これからも応援しています!

(ダニエルソン) こちらこそ、どうもありがとう。

おわり

 

ごりごりのアスリートである以前に、その柔軟な頭でプロレスという戦いの場を楽しんでいるといった印象のブライアン・ダニエルソン。私が想像していたよりも、彼の目指すものはまだまだ高いように感じた。プロレスとは「自由」なり。孤高のプロレスラーという言葉がこんだけ似合う人もいないな、と思った。果たして、9月のROH日本公演ではどんな活躍をしてくれるのか、いまから楽しみです。

 

【文・ジュードーチョップ aka Yama-chan】

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