カテゴリー: Review

観戦記

  • 飯伏幸太 vs デイヴィー・リチャーズ


    1月16日 EVOLVE1 @ラーウェイ・レックセンター ニュージャージー州ラーウェイ

    p1040441p1040445p1040447

    p1040449p1040461p1040468

    p1040469p1040474p1040478

    p1040481p1040490p1040497


    p1040508


    日米インディー界のトップが激突したEVOLVE1のメインイベント。かなりの僅差でデイヴィー・リチャーズのタップアウト勝ち(キムラロック)に終わった。まさにEVOLVE旗揚げ戦のメインイベントに相応しい白熱した試合内容だった。ムーンサルトムーンサルト、場外への三角飛びケブラータ、マトリックコンボなどの飯伏にしか出来ないオリジナルムーブに、会場が割れんばかりの歓声と拍手に包まれていた。そして試合後にはスタンディングオベーションが起こるほどの盛り上がり。この試合はDVDでまたじっくりと観てみたい。


  • 澤宗紀 vs TJP


    1月16日 EVOLVE1 @ラーウェイ・レックセンター ニュージャージー州ラーウェイ

    アメリカマット初上陸となる澤宗紀(格闘探偵団バトラーツ)の対戦相手はテクニシャンのTJパーキンスことTJP。

    p1040413p1040414p1040417

    先ずは不敵な笑みを浮かべながらTJPが入場。そして気合を入れるように自ら頬をはりながら澤宗紀が入場してくる。しかしいつもの『リボルバージャンキーズ』ではなくアブストラクトな音楽で。開始のゴングが鳴ると「SAWA! SAWA!」チャントが発生。いきなり張り手合戦から澤のジャマンスープレックスが炸裂する。ど頭からピリピリとした雰囲気。そしてロックアップせずに打撃の攻防がはじまる。TJPの打撃に対する対応力が高いこともあって一進一退の互角。

    澤のお卍固めがすっぽりと決まるとTJPがそれをタイミングよく腕ひしぎ十字固めへと切り返す。澤が膝十字を決めにかかるとTJPがクルッと回転して上になったり、また逆に澤が関節を取り返すといった目まぐるしいグラウンドの攻防が続く。そしてノーガードでの張り手合戦から両者ともノックダウン。ここで観客から「THIS IS AWESOME!!」チャントが発生。またも張り手合戦から一発TJPのイイのが入ると澤が気持ちよさそうに日本語で「いいねえ~!」。

    p1040430p1040437p1040439

    そしてグーパンチの連打や伊良部パンチまで繰り出すとシャイニングウィザードがTJPの顔面に炸裂。最後は澤のお卍固めがガッチリと決まりロープに逃げようとするがTJPがたまらずタップアウト。澤はEVOLVEで初勝利をもぎ取った。


    先ず驚いたのはTJPがバチバチスタイルに対応できたことだった。打撃やグラウンドそして立ち振る舞いなども含め全てが無駄の無いキレのあるグッドコンデションだったように見えた。この二人ならもっとすごいバチバチが観られるのではと思えるほど。これからのTJPはかなり要チェック。そしてアメリカ初上陸の澤宗紀はコアなアメリカのファンの間でもあまり知られていないのが現状。その澤がバチバチスタイルを引っさげてアメリカに乗り込み観客から大きな拍手と歓声につつまれ勝利をおさめた。この一勝は澤にとって実に大きい。しかしランジェリー的な側面も持ち合わせる澤にとってまだまだこれは始まりに過ぎない。とんでもない引き出しがまだ隠されているはずなので、これからもっともっと澤のプロレスをアメリカのプヲタに見せつけて欲しいと思った。

    【文・ジュードーチョップ aka Yama-chan】



  • オースティン・エリーズ vs タイラー・ブラック


    12月19日 ROHファイナルバトル @グラウンドボールルーム ニューヨーク州マンハッタン

    一年を締めくくるファイナルバトルは今年もニューヨークで開催された。メインイベントは挑戦者タイラー・ブラックと王者オースティン・エリーズのROH世界王座戦が行われ、60分フルタイムドローという結果に終わった。これによりオースティン・エリーズが王座防衛を果たした。

    p1040354

    試合開始から30分が経過したあたりで何となくフルタイム行くんじゃないかという雰囲気は確かにあった。それはエリーズが度重なる場外エスケープやチープな反則攻撃といった時間稼ぎとしかとれない試合運びから察することができた。問題なのは観客の反応だった。それは比較的遅い時間(23時頃)からメインイベントが始まったことに加え、エリーズのノラリクラリ戦法で観客の意識が「早くこの試合を終わらせてくれ」というネガティブな方へと傾いていたことだ。

    次第に応援チャントが少なくなり、客のしゃべり声が目立ち始め、試合に集中できない状況になっていた。メインイベントだというのに試合途中で帰りはじめる客の姿も…。ここで一つ断言しておきたいのは今までのROHでは考えられない異常事態だということ。いくら試合がダレたとしても今までこんなことはなかった。恐らくこの一年でファン層がかなり変わってきているという証拠だろう。

    p1040359

    試合開始から45分が経過したころ、突然試合を放棄してバックステージへ帰ろうとするエリーズをブラックが追いかけまたエリーズが逃げるという鬼ごっこ的な展開に。すると観客から失笑と共に「ディス・イズ・ブルシット!」という前代未聞のチャントが発生。ストレスと怒りを通り越して、なんともいえない笑いの境地へと。

    もしかしたら59分あたりでブラックが奇跡的にサプライズ勝ちしまうのではないかと妄想してみたものの、結果はやはりフルタイムドローだった。やっぱり感というかどうしようもなく重苦しい雰囲気が会場を包んでいた。ガックリとうなだれたブラックには観客から拍手が送られていた。しかし本人は全く納得していない様子でリングをあとにした。

    p1040364

    ファイナルバトルのメインイベントということで期待値が高かっただけにこの試合内容の落胆ぶりはかなりのものだった。何故にこのタイミングで60分フルタイムドローなのか。ファイナルバトルがこれで本当に良いのだろうか。エリーズのこのキャラはこのまま続いてしまうのかなど、色んな意味で考えさせられる一戦となった。

    ただ一つだけ言えることは、ROHにとって良くなる要素はまだ必ずあるはずだということ。ラリー・スウィーニーの復帰や、クリス・ヒーローとクラウディオ・キャスタニョーリのタッグ(キング・オブ・レスリング)の復活といった新しい展開にも注目していきたい。


    【文・ジュードーチョップ aka Yama-chan】

  • 月刊 ネクロ・ブッチャー vol.5


    今回の月刊ネクロ・ブッチャーは、ブロディ・リーと組んでニック・ゲイジ&ネイト・ヘイトリッドのやさぐれ極悪タッグチームを迎え撃つJAPWタッグ選手権試合の模様をレビューします。


    11月21日 JAPW@ニュージャージー州ラーウェイ

    入場と同時に揉みくちゃになる両チーム。ざっくりと額を割られたネクロ・ブッチャーはウガー!と雄叫びを上げながら反撃を開始する。奪い取ったハサミでニック・ゲイジの額を切り刻むと、ハサミから滴る血をポタポタと口の中に入れながら怪気炎。いよいよスイッチが入ってしまったネクロはゲイジをつかまえて客席へと雪崩込んでいく。一方、ブロディ・リーとネイト・ヘイトリッドは会場の外へ。

    p1040220p1040222p1040225

    鉄柵を強引に取り外そうとするネクロだったが、どうやっても取り外すことができずに苛立はじめる。鉄柵に集中しすぎて隙だらけのネクロを後ろから殴りかかるゲイジ。ぱっくりと開いたネクロの額めがけてグーパンチの連打。さらにヨロヨロになったネクロへ容赦ないグーパンチの雨を降らせる。床には大量の血がポタポタと滴り落ちる。その頃、リーとヘイトリッドは会場の外で殴り合いが続いている。

    p1040228p1040229p1040230

    ひげ面に顔面血だらけでしかも寄り目というやさぐれ定番フェイスが出たところで一気に反撃にでるネクロ。助走をつけてゲイジを壁に叩きつけると、ゲイジの血が壁にべっとりと付着。首根っこを捕まえてひな壇の観客席へと倒れるように駆け込む二人。落ちていた空き缶を引きちぎり尖った部分でゲイジの額を殴りまくるネクロ。ゲイジ悶絶して血が吹き出す。さらに紐をゲイジの首にぐるぐる巻きにして締め上げる。ちょっとした殺人現場のようだ。

    p1040232p1040233p1040235

    すると会場の外でやりあっていたリーとヘイトリッドが裏口から会場内へと戻ってくる。ややヘイトリッドが劣勢。戻ってきたのを確認するとノックダウンしたゲイジを残してヘイトリッドにも股間攻撃をはじめるネクロ。グーパンチ、凶器攻撃、急所攻撃のオンパレード。この時点でプロレス的な技はひとつも出ていない。リーも負けじとヘイトリッドの背中へパイプ椅子攻撃。しかもフルパワーで思いっきりがいい。ハードコアな試合になるといつも以上の実力を発揮するブロディ・リー。ハードコア適性はかなりのものがある。

    p1040237p1040239p1040242

    ようやくリング上に戻った両チーム。また激しくやりあうなかネクロだけはリング下を物色する。探し物はパイプ椅子だった。リング上へパイプ椅子を投げ入れるとまたウガー!と叫んでグーパンチのポーズ。向かい合うようにパイプ椅子をセットしてゲイジにタイペイパンチ合戦を要求するネクロ。ファンから大声援が巻き起こる。グーパンチを頬にフルパワーでぶち込むだけのタイペイパンチが始まる。パチン!とゴツン!が合わさったような鈍い音が何度も場内に響く。ネクロのフルスイングパンチがゲイジのアゴに命中。ゲイジは椅子ごと後ろにぶっ倒れるとネクロがガッツポーズを決める。

    p1040251p1040254p1040259

    たたみ込むように得意技のタイガースープレックスで勝負に出るネクロだったがゲイジはそれをツーでキックアウト。しかし一瞬のすきにネクロが背後からゲイジを丸め込んでスリーカウント。ネクロ&ブロディ組がタッグ王座を防衛した。


    今回のストリートマッチは本来のネクロさんムーブが随所に炸裂したせいもあってか大会一の盛り上がりだった。対戦相手のニック・ゲイジ&ネイト・ヘイトリッド組も大量の血を流し大量の椅子を壊してなかなかの活躍ぶり。最近ではここまで激しい流血戦というのも珍しくなってしまったネクロ。やはり通常ルールの試合よりも流血戦の方が数倍も輝いて見えた。これからも凶器片手に顔面を血で染めて変な方向に口を曲げながら寄り目のネクロが見てみたい。ネクロが一番輝ける場所はハードコアでありデスマッチなんだと思った。


    【文・ジュードーチョップ aka Yama-chan】

  • ケニー・オメガ vs クラウディオ・キャスタニョーリ


    9月26日 ROH@グラウンドボールルーム ニューヨーク州マンハッタン

    クラウディオの入場と同時に会場のファンから大ブーイング。いつものロックマン2ミックスではない曲がかかるとエントランスにケニーが現れる。とそこでいきなり波動拳ポーズ。クラウディオが脱いだ手袋でケニーの頬を叩くと、こんどはケニーがショートタイツのちょうど股間の辺りをまさぐり始める。手品師のように取り出したのは同じく手袋。それでクラウディオの頬をペシッと叩きかえすケニー。

    p1030978p1030981p1030982

    そんな拍子抜けな流れで試合がスタート。ストップ延髄斬り、ダイビングボディーアタック、跳び箱式フェイスクラッシャー、とストリートファイターのハメ技のように次々と技が決まる。クラウディオが攻めるとブーイング、ケニーが反撃すると大歓声、といったわかりやすい客の反応がつづく。

    p1030984p1030992p1030994

    フランケンシュタイナーも決めて更に勢いづくケニー。ガッツポーズを披露する。クルクル具合(髪の毛)と調子の良さは比例するのかこの日のクルクル度はかなりのもの。

    p1030998p1040001p1040003

    しかし勢いづいたのも束の間、すきを突かれて軽々と担ぎ上げられてしまうケニー。そのまま豪快なエアプレーンスピンを仕掛けるクラウディオ。しかも最後はホールドしていた手をはなし、ケニーを肩だけで支えたままクルクルクルーと回すという怪力っぷりを披露する。平衡感覚を狂わされマットに叩きつけられるケニー。クラウディオがカバーに入るがカウント2.89でキックアウト。

    p1040004p1040005p1040006p1040009

    フラフラになりながらも必殺の波動拳を発射するケニーは、すかさずクラウディオを肩に担ぎ上げてクロイツ・ラスを狙いにいく。がしかし、肩車させられた状態のクラウディオは、投げられまいとレフェリーの胸ぐらを掴んで必死に抵抗する。体勢が崩れクロイツ・ラス失敗。レフェリーが倒れているすきに、ケニーの股間へローブローをぶち込むクラウディオ。悶絶するケニーを押さえ込んでそのままスリーカウント。クラウディオ・キャスタニョーリの勝利。

    p1040010p1040011p1040012


    いつでもどこでも全力で戦うのがプロレスに対するポリシーだというケニー・オメガは、この日もトリッキーかつ機敏な動きでニューヨークのファンから大声援を浴びていた。この日のケニーは、ジャンプ力の高さ、技のキレ、波動拳の時のアー顔、どれを取っても素晴らしかった。そして改めて感じたのは、アスリート揃いのROHの中でもケニーの身体能力はずば抜けているということ。日本で見せているいつものファイトスタイルと全く変わらないのもケニーらしいと思った。ヒールスタイルのクラウディオは、試合内容にむらがあるものの、この日はオーソドックスなヒールらしさが光っていた。あともう一歩のところで負けてしまったが、ケニーにはメイン級のレスラーに食ってかかるような貪欲なところをもっとアピールして欲しい。いつの日かROHのメインでケニーのアー顔が見てみたいなと。


    【文・ジュードーチョップ aka Yama-chan】