PRO WRESTLING SYNDICATE @Yonkers, NY (03/22/08)

 

2007年6月に旗揚げをしたプロレスリング・シンジケートの4回目の興行です。今までの3回はニュージャージー州で行われていたのですが、今回は ニューヨーク州に場所を移しての開催となりました。このPWS、旗揚げ戦から一貫して言えるのですが、出場しているレスラーのレベルに非常にばらつきがあ るとても不思議な団体です。サブゥー、サモア・ジョー、ジェリー・リン、アビス、スティーブ・ウィリアムス等が試合をする一方、お尻にパットを入れている 練習生レベルのレスラーも出ています。またスペシャルゲストとしてキャプテン・ルー・アルバノ、ブルータス・ビーフケーキなどが会場に姿を見せるとても謎 の多い団体なのです。また事前に告知をしていたレスラーが出ないことも多く、今回はサブゥー、そしてゲストのオックス・ベイカーの来場がありませんでし た。そしてこの団体のコミッショナーがネクロ・ブッチャーなのですが、これらの情報からこの団体のカラーを想像頂けるかと思います。

今回はPWS初の王座を決める試合ということで、12人のレスラーによる王座戦トーナメントが開催されました。エントリーされたのは、テディ・ハー ト、ジャック・エヴァンス、トレント・アシッド、ラッカス、”M-Dogg20″マット・クロス、デヴォン・ムーア、ダニー・デマント、ジェリー・リン、 ケニー・オメガ、トミー・スエード、ケヴィン・マシューズそして当日発表の謎のレスラーの計12人のレスラー。試合形式ですが、まずはタッグ戦。その後勝 利したタッグチームのパートナー同士がシングル戦。その次には三つ巴戦で王座決定という仕組みです。

この日は19:30試合開始だったのですが、試合が始まったのは20:00を過ぎた頃。会場に多くいた子供達は始まる前からフィギュアやベルトを片 手に大興奮していたのですが、試合が始まるとその興奮は異様なまでにヒートアップ!!あまりの凄まじさに、思わず席を移る羽目に。

第1試合:トミー・スエード 対 アズリエル
以前はROHにも出ていたアズリエル選手ですが、どうも見るたびに悪くなる…。地元のレスラーなので見る機会も多いのですが、見る毎に体も小さくなり、動 きも悪くなっていきます。そこまで悪いと逆に非常に気になります。試合はトミー・スエードがロープに足を掛け、アズリエルをフォール。ちなみにこの試合で 勝利したスエードが王座戦の参加資格を得ました。試合序盤から会場にいた子供達にブーイングを浴びせられていたスエードですが、その子供達のブーイングを 逆手に取り、「どうだ俺は悪者なんだ!」と子供達にアピールをしていました。しかしどうしてそこまで子供達に嫌われていたのかは謎。

第2試合:アダム・フラッシュ 対 ポール・E・ノーマス
先にリングに登場したアダム・フラッシュが、ロッカールームのレスラーに向けてオープンチャレンジを要求。すると会場の搬入口のシャッターが開き、黄色い ランボルギーニを運転するポール・E・ノーマスが登場(ちなみに前途の子供達はランボルギーニを見て大興奮。スポーツカーを触った!!と絶叫していまし た)。ポール・E・ノーマスは体中筋肉&タトゥーの入った大きなレスラーなのですが、ノーマスの登場にフラッシュ唖然→あっという間にフォール負け、とい う展開でした。ちなみにポール・E・ノーマスという名前ですが、E・ノーマス部分はEnormous(巨大な、莫大な)という単語に掛けています。身長は そこまで高いわけではないのですが。

第3試合:トレント・アシッド&ラッカス 対 テディ・ハート&ジャック・エバンス
3試合目にしてやっと試合らしい試合が見られそうですが、何と言ってもトレント・アシッドに注目しないわけにはいかないでしょう。彼はかつてはインディ界 のスターとして、CZWやROHで絶大な人気を誇っていました。確かにその頃は素晴らしい試合も多く、私もアシッドの大ファンだったのですが、その後ド ラッグで急激にダメになってしまい、現在では当時を知っているファンから大顰蹙を買っています。特に当時彼を評価していた人ほど現在のダメっぷりが許せな いようで、最近の彼を知らない人がアシッドはどうなの?と尋ねようものなら、ものすごい勢いでいかに現在の彼がダメかを説明する有様です。確かにかつては 華もあり、将来を期待されていたので、今現在の状態(しかもドラッグでダメになった)には納得がいかないのもわかります。前回のPWSではジャスティン・ クレディブル相手に試合を行いましたが、まっすぐ立つこともできないような状態での試合でしたので、果たしてこの日は大丈夫なのか、それだけが気がかりで した。結果を言うと前回よりもマシな状態だったものの、やはり顔色は悪く、体の動きも悪く、はっきり言ってどうしようもありません。試合後半には4人全員 がリング下で乱闘状態になったのですが、ジャックはトップロープから場外へダイブ、ラッカスもリング上から場外に飛び、テディ・ハートもトップロープから 場外へムーンソルトを決めたのですが、結局アシッドは何もせず。試合途中からはタッグパートナーであるラッカスは全く手を貸さずにアシッドが一人でやられ まくり。結局アシッド一人がボロボロになり、テディから3カウントを奪われ試合は終了。

第4試合:デヴォン・ムーア&”M-Dogg20″マット・クロス 対 ダニー・デマント&サンジェイ・ダット
事前発表ではダニー・デマントのパートナーは???となっていたのですが、デマントのコールによりサンジェイ・ダットであることが判明。ん?でも開演前に 物販販売していたの見たけど…それでは???の意味がないんですけどね。試合はムーアとマットが対角線上のコーナーから同時にムーンソルトを決め勝利。ち なみにこの日のマット・クロスは、飛行機に預けたスーツケースが行方不明になってしまい、他のレスラーからシューズと短パンを借りて試合をすることになっ たとのこと。

第5試合:ケビン・マシューズ&トミー・スエード 対 ケニー・オメガ&ジェリー・リン
言うまでもありませんが、この4人の中で圧倒的な存在を放ったのがジェリー・リン。年齢的には他の3人の倍近く離れているのですが、動きもテクニックも存 在感も全く段違いの存在でした。実際の試合なのですが、まるで生徒に練習をつけているコーチの如くレベルの違いを見せつけて、ジェリー・リンがスエードか ら3カウントを奪い勝利。

この後20分程の休憩時間がありましたが、その間にはこれらのレスラーのサイン会が行われました。サンドマン、ジェリー・リン(それぞれ$15)、 テディ・ハート、ダニー・デマント、ケヴィン・マシューズ、アンジェリーナ・ラブ、ジミー・パワーズ(元WWFヤング・スタリオンズ)、ロメオ・ロゼリ (元WWEハートスロブス)

第6試合:アンジェリーナ・ラブ 対 アレクサ・サッチャー
サッチャーがラブから3カウントを奪い勝利。

第7試合:ジャック・エヴァンス 対 テディ・ハート
ジャックは今年1月の試合で頬骨陥没という怪我をし約2ヶ月リングを離れていましたが、既に完治したとのこと。試合中盤テディのムーンソルトをジャックが 膝でブロックし、その後ジャックが630を狙うも逆にテディから膝でブロックされるといった一進一退の攻防に、客席からは「5 star match!(五つ星の試合!)」とのチャントが起きるほどに。その後トップロープからテディが場外へとムーンソルトを決め、それを受けたジャックが客席 の柵の上から560を決めるなど30分近く続く白熱した試合になりましたが、最後はテディの場外カウント負け。試合内容が良かっただけにこの終わり方に観 客は納得せずリング上に物が投げ入れられる事態となりましたが、テディがリングに上がりジャックと握手を交わしてスピーチを始めることで収まりました。 「俺の一族はこの業界に命を捧げてきた。俺たちは常にファンのために、そして自分のために、全力を尽くしてこの世界に挑んでいる。俺がこうやって頑張って いられるもの、君達ファンが一生懸命応援してくれるからなんだ。本当にどうもありがとう。」という内容なのですが、正直良い事を言います。但し、素行不良 で有名なテディ・ハート。言動に矛盾があるのでは?とその場で聞いていた誰もが思ったことでしょう。実は彼は試合の度にこのようなスピーチをするのです が、毎回これを聞いていると違和感が生じてくるのも本当のところです。確かに彼の技はどれもとても奇麗ですし、ドロップキックにしても打点が高く正確で す。しかし一方で、素行不良のレスラーとして有名です。それがレスラーっぽいと言えばそうなのかもしれませんが。

第8試合:”M-Dogg20″マット・クロス 対 デヴォン・ムーア
最近は顎ひげを伸ばし続けているマットですが、なぜかそのひげが観客に大人気。パンチやエルボーを繰り出す毎に客席から「beard!(顎ひげ)」の掛け声が上がり大人気に。但し試合はムーアが勝利。

第9試合:ケニー・オメガ 対 ジェリー・リン
ケニー・オメガは最近私が注目している選手です。技の一つ一つで魅せるタイプではなく、細かく試合を組み立てていくタイプのレスラーで、派手さは無いもの の非常に安定しており、上手く試合を作る技巧派タイプのレスラーと言えます。そのような選手なので、もちろんジェリー・リンとも上手く試合を進めることが でき、非常にテンポの速い試合らしい試合となりました。最後はオメガがリンをフォールして勝利し、この日のメインイベントでは、ムーア対ジャック対オメガ の三つ巴戦でPWS王座戦となることが決定。

第10試合:ネクロ・ブッチャー 対 サンドマン
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第11試合:デヴォン・ムーア 対 ジャック・エヴァンス 対 ケニー・オメガ
メインイベントが始まる頃には既に0時近くなり、またこの日既に試合を行っている選手の登場とあって観客席はまばらな状態。しかも観客も疲れ切っており、客席も進行もグダグダの中メインイベントの開始となりました。
まずはムーアとオメガで共闘し、ジャックを攻めることから試合は開始。二人同時にジャックに関節を決め、ジャックはタップアウトで試合から離脱。その後は ムーアとオメガの一騎打ちとなるものの、お互いにスープレックスを放った後に立ち上がることができず、両者カウントアウトの判定となりました。そこでコ ミッショナーのネクロが登場し、今のダブルノックアウトの判定は無効、試合は続けるようにとの指示を出したのですが、ムーアが控え室に逃げ戻ってしまい試 合続行は不可能な状況に。リング上に残されたオメガがマイクを手にし、ムーアに次回PWSの興行でのアイアンマンマッチを要求。PWSがそれを了承し、 「PWS王座は次の興行のオメガ対ムーアのアイアンマンマッチで決定します!」とのアナウンスと共に試合が終了しました。

相変わらずとても不思議な団体PWS。ようやく王者が決定するのかと思いきや想像を絶する終わり方で、ある意味期待を裏切らなかったとも言えます。 果たして次回は本当に王者が決定するのか、それとも予想もできない何かが起こるのか、何だかんだ言ってやはり目が離せない団体になっています。   【文・Shiori】

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